丸田祥三著作 詳細2
- めくるたび – IKKI AMUSEUM(小学館2006年刊行)丸田祥三 ISBN 4093590850
雑誌「IKKI」で連載されていた丸田祥三の写真とエッセイを纏めた作品集。
表と裏、光と影、痛み喜び、過去と未来――新作『棄景V』をはじめ、廃墟写真の先駆者として強烈な個性を放つ作品を発表し続ける稀代の写真家・丸田祥三。そんな氏が、2枚の写真と1握の文章をもちい、“めくる”ことであなたを心の旅へといざなう、不思議さと優しさに満ちた珠玉の短編写真集。廃墟、懐かしい町なみ、そこへ佇むひとりの少女。その美しすぎる風景はあなたの目を捉えて離さない。だがその風景には、厳しくも重たい“現実”を生きる世代への、決して甘くない、氏の真摯な“思い”が込められている(小学館)
- 「表現する仕事がしたい」―『無理解と対峙し続けるということ』丸田祥三 2009年岩波ジュニア新書(全文掲載) ISBN-4005006310
【要約】
私(丸田祥三)は、5歳の頃から写真撮影を始め、特に廃屋や廃線など、誰も注目しない”棄てられた”ものを撮影していました。都庁や交通局、解体業者を訪ね、歴史的建造物や廃屋、廃都電等の場所を自分で調べました。
撮影許可を得るときにはいつも「なぜそんなものを撮るのか」と大人たちから問いただされ、何度も拒絶されました。それでもなぜか「いつか自分の写真が価値を持つ時が来る」という確信があり、無理解に対して粘り強く立ち向かいました。
また、父親が写真を純粋な表現とは認めなかったため、廃墟一ケ所につき一回しかシャッターを切らないように努めました。「棄てられたものには価値などはない」という世間の無理解に対峙しながらも、”棄てられたもの”を撮り続けました。
大学卒業後、映画会社に就職しましたが、そこで才能がある者が埋もれていく現実に首を傾げました。評価が人の主観に委ねられる映像表現の世界の難しさを痛感させられました。それから数年後フリーの写真家となる決意をしました。
表現とは、常に周囲の「無理解と対峙し続ける」ことだと私は考えています。物だけでなく人が簡単に切り捨てられる今の社会の中で、まだまだ撮るべきものが多いと感じております。丸田祥三
丸田祥三が写真を担当し、廃道や廃道に関連する歴史等について平沼義之氏が解説している。
撮影場所:(道、峠、門、橋の”付近”です)上江橋、網代隧道、国道113号小国街道宇津トンネル、宇佐美隧道、長野隧道、伊賀街道、畑隧道、日和田隧道、余慶橋、白沢峠、数坂隧道、非道隧道、栗子峠、白川街道、下山隧道、片洞門、駒止峠、畑隧道、三依橋、婆娑羅峠、川治ダム、柏峠への道、きびたきトンネル、緑山(町田市)等。
- 眠る鉄道(小学館2012年刊行)丸田祥三 ISBN 978-4096820674
車両、廃線、全96作品を収録。現役当時の姿、または関連写真、その後、の変遷を映した写真集であり、まぎれもない車両たちの「生命」の記録である。
とうとう やじるしに なって きいている
うみは あちらですかと・・・・・・
まど みちお「するめ」 詩集「まめつぶうた」より
この作品は詩人のまどみちおさんが干からびた魚を詠んだ詩ですが、じつは廃電車にも言えることなんじゃないかな、とずっとそんな気がしていました。
台車はおろか架線すら失っても電車はどこか一方を向いて、ふと足を留めた誰かに何事か問いかけているようにも思えるのです。
1920年代生まれの電車なら、大正時代、Democracyの精神が目指していたのはこの方角でしたか?と。
40年代生まれの電車は、終戦後、人々が向かっていた先ってこちらでしたっけ?
あるいはもっと後に生まれた電車の場合、「あなたが進んでいる道、この方角でよかったのかな?」と。
丸田 祥三